Arc B580
Arc B580は、このサイトで扱う34のオープンモデルのうち11モデルを、Q4_K_M・8kコンテキストで動かせます(2026年10月16日に計算)。最大のモデルはQwen3 14Bで、必要量は10.8GB、生成速度は約37トークン/秒です。
- メモリ
- 12GB(VRAM)
- メモリ帯域幅
- 456GB/s
- ボード電力
- 190W
- 発売
- 2024年
- 入手方法
- 新品で販売中
Arc B580で動くモデルの一覧
Arc B580(12GB)がGPUで使えるメモリは12GBで、メモリ帯域幅は456GB/sです。以下のモデルはすべて、多くの人が実際に使う設定であるQ4_K_M・8kコンテキストでの値です。5%の安全マージンを差し引くと、使えるのは11.4GBです。何が読み込めるかはメモリが、どれだけ速く応答するかは帯域幅が決めます。どちらも明示した計算式による推定値で、LLM VRAM計算ツールで計算の過程を確かめられます。
このGPUでは、11.4GB以下なら収まり、10.2GBを超えると「ぎりぎり」です。読み込めても会話に使える余裕はほとんどなく、同じ12GBでデスクトップ環境も動かしていると収まらなくなることがあります。トークン/秒は、メモリ帯域幅から求めたシングルストリームの推定値です。≤の付いた数値は上限で、実際のランタイムはこれを大きく下回ります。
計算・2026年10月16日実際に動かすならこのモデル
Gemma 4 12Bが、このGPUを最も有効に使えるモデルです。使うのは12GBのうち8.2GBで、生成速度は推定46トークン/秒(チャットなら快適)、コンテキストにはまだ131,072トークン分の余裕があります。
ベンチマークは引用していないため、選び方を説明します。モデルはサイズで比べ、MoE(Mixture of Experts)モデルは総パラメータとアクティブパラメータの幾何平均で数えます(経験則で、測定ではありません)。メモリに余裕を持って収まり、25トークン/秒以上で応答する最も大きいクラスを選び、その中で最も新しい汎用モデルを選んでいます。コーディングや推論に特化したモデルは上の一覧には載せていますが、標準ではおすすめしていません。
このGPUが保持できる最大のモデルはQwen3 14Bで、必要量は10.8GBです。ただし、普段使いには向きません。メモリの90%を埋めるため、会話に使えるのは11,264トークンだけです。生成速度も、46トークン/秒に対して37トークン/秒です。文書の途中でコンテキストが尽きるなら、パラメータが多くても割に合いません。
パラメータ数より品質を重視するなら、Qwen3 8BがQ8_0で約10.7GBに収まります。Q8はほぼ劣化がなく、Q8の小さなモデルは、Q3に押し込んだ大きなモデルに勝つことがよくあります。
実際に収まるコンテキスト長
よく聞かれるのはモデルのサイズですが、実際に効いてくるのはコンテキストです。KVキャッシュは会話の長さに比例して大きくなるため、余裕を持って読み込めたモデルでも、長い文書の途中でメモリが尽きることがあります。12GBで使えるコンテキストは、重みを載せた残りの分だけです。同じモデルが動く2つのGPUでも、使い心地がまったく違うことがあるのはそのためです。以下は、Q4_K_Mの重みで、このGPUが保持できる最大のコンテキストです。
| モデル | 最大コンテキスト長(FP16のKV) | Q8のKVキャッシュ |
|---|---|---|
| Gemma 4 12B | 131,072トークン | 131,072トークン |
| Qwen3 14B | 11,264トークン | 23,552トークン |
| Phi-4 14B | 9,216トークン | 16,384トークン・モデルの上限 |
| Ministral 3 14B | 14,336トークン | 29,696トークン |
KVキャッシュをQ8に量子化すると、保持できる量はおよそ2倍になり、品質の低下はほとんどの人が気づかない程度です。このGPUでは、Qwen3 14Bが11,264トークンから23,552トークンになります。上限は128kトークン、またはそれより小さければモデル自身のネイティブのコンテキスト長で、後者は「モデルの上限」と表示しています。それを超える空きメモリは何の役にも立ちません。サイズの割にはるかに多くのコンテキストを保持できる行は、ハイブリッド構成、スライディングウィンドウ、MLA(Multi-head Latent Attention)のモデルで、標準的なTransformerのほんの一部しかキャッシュしません。計算の過程は各モデルのページにあります。
このGPUの限界
最初に届かなくなるモデルはgpt-oss 20Bで、Q4_K_M・8kコンテキストで約13.4GBが必要です。使えるメモリは12GBです。Q3_K_Mに下げると約11GBが必要で、収まりますが、Q3は品質の低下が大きいため、たいていは小さなモデルをQ4で動かすほうが良い選択です。残りをシステムRAMにオフロードすれば動きますが、10〜50倍遅くなります。モデルが動くのを確かめる方法であって、使う方法ではありません。
購入かレンタルか
使うツールがllama.cppかOllamaで、ツールごとにIntel対応を確かめることを受け入れられるなら、新品の12GBのGPUとして妥当な選択です。CUDAが重要なら、中古のRTX 3060 12GBが、速度の上限は低いものの、同じモデルをより幅広いソフトウェア対応で保持できます。12GBを超えるものには、24GBクラスを検討するか、時間単位で借りましょう。
小売価格は変動し、今日書いた数字はひと月もたたずに古くなるため、このページには載せていません。実際に検討している価格を、電気料金と実際の月間使用時間とあわせて購入とレンタルの比較ツールに入れてください。このGPUが負荷時に190Wを使うことは、ツールにすでに入っています。所有するほうが安くなる月がわかり、そうならない場合はそれがわかります。決め手になるのは、価格よりも月間の使用時間であることがはるかに多いです。
率直な評価
Intelの12GBのGPUで、メモリはRTX 3060 12GBより速いものの、ソフトウェアの歴史はまだ浅いです。
12GBのGPUならどれでも収まるモデルが収まり、それを456GB/sで読み出します。RTX 3060より約4分の1速く、RTX 4070をわずかに下回る速さです。ハードウェアとしては十分ですが、問題はソフトウェアです。llama.cppはSYCLとVulkanで、OllamaはVulkanで対応していますが、IntelはIPEX-LLMとIntel Extension for PyTorchという自社のプロジェクトをアーカイブ済みにしており、CUDA専用のツールは動きません。
得意なこと
- 12GBを456GB/sで読み出せます。RTX 3060 12GBより約4分の1多い帯域幅です。
- llama.cppのSYCLバックエンドはB580を検証済みのデバイスとして挙げており、LinuxとWindows 11に対応しています。
- ボード電力は190Wで、電源コネクタは8ピン1つです。Intel自身のカードは2スロットです。
向かないこと
- 12GBという上限は、RTX 3060や4070と同じです。
- IntelはIPEX-LLMとIntel Extension for PyTorchをアーカイブ済みにしており、現在は本家のPyTorchを案内しています。ローカルでのチャットは、llama.cppかVulkanを通じて動かします。
- CUDAには対応していません。CUDA版のビルドしかないファインチューニングや画像のツールは動きません。
よくある誤解:Intelの仕様ページには今も「Intel Extension for PyTorch (IPEX) Support: Yes」(訳:PyTorch向けIntel拡張(IPEX)への対応:あり)と載っていますが、IntelはそのプロジェクトとIPEX-LLMをアーカイブ済みにしており、PyTorchを直接使うよう案内しています。IPEX-LLMのインストールから始まるガイドに従うと、今ではメンテナンスされていないソフトウェアにたどり着きます。
ほかの選択肢との比較
- RTX 3060:12GB・360GB/s・最適なモデルはGemma 4 12B、約36トークン/秒。ローカルモデルを動かす価値がまだある、最も安いGPUです。
- RTX 4070:12GB・504GB/s・最適なモデルはGemma 4 12B、約51トークン/秒。クラスの割に速いものの、12GBで頭打ちになるGPUです。
- Arc Pro B60:24GB・456GB/s・最適なモデルはGemma 4 12B、約46トークン/秒。Intelの24GBのワークステーション向けGPUで、B580と同じ帯域幅に2倍のメモリを載せています。
全39種類のGPUはGPU一覧で並べて比較しています。同じ数値をモデルの側から見た表はモデルの適合表(英語)にあります。表を読む代わりに特定の組み合わせを確かめるなら、ローカルLLM動作チェッカーを使ってください。
よくある質問
- Arc B580で70Bのモデルは動く?
- Q4_K_Mでは、1枚では動きません。Llama 3.3 70Bは8kコンテキストで約45.8GBが必要で、このGPUが使えるのは12GBです。選択肢は、より小さなモデルにするか、コンテキストをごく短くしてより強く量子化するか、2枚に分けるか、必要な時間だけより大きなGPUを借りるかです。
- Arc B580で動かすのに最適なモデルは?
- Gemma 4 12Bです。Q4_K_M・8kコンテキストでは、使える12GBのうち約8.2GBを使い、生成速度は推定46トークン/秒で、体感は「チャットなら快適」です。サイズより品質を重視するなら、Qwen3 8BがQ8で約10.7GBに収まります。
- Arc B580の生成速度は何トークン/秒?
- モデルのサイズ次第です。トークンを生成するたびに、アクティブな重みをすべてメモリから読み出すからです。456GB/s・効率70%で、このGPUは8BのモデルをQ4で推定69トークン/秒で生成します。保持できる最大のモデルのQwen3 14Bでは約37トークン/秒です。人が文章を読む速さは毎秒5〜8語ほどなので、25を超えれば一瞬に感じます。69は456GB/sから求めた上限で、実測ではありません。数値が大きいほど、実際のランタイムはこれを大きく下回ります。
- ローカルLLMに12GBで足りる?
- このサイトで扱う34モデルのうち11モデルが、Q4_K_M・8kコンテキストで動きます。最大で14.8Bパラメータまでです。本当の試金石はモデルの一覧ではなくコンテキストです。このGPUでGemma 4 12Bを動かすと、メモリが尽きるまでに約131,072トークンを保持できます。
- ローカルモデルにはArc B580とRTX 3060のどちら?
- どちらも使えるメモリはほぼ同じなので、動くモデルも同じです。速度では、このGPUのほうが速く、456GB/s対360GB/sです。チャットの速さを決めるのは帯域幅です。
- AIにはArc B580とRTX 3060 12GBのどちら?
- どちらも12GBなので、収まるモデルは同じです。B580はメモリを456GB/s(3060は360GB/s)で読み出し、約4分の1速いため、両方に収まるどのモデルでも速度の上限が高くなります。3060は、ほとんどのAIツールが真っ先に対応するCUDAが動きます。B580はSYCLかVulkanのビルドに頼ります。llama.cppやOllamaでのチャットならB580、最も幅広いツール対応を求めるなら3060です。
- OllamaはIntel Arc B580に対応している?
- Vulkanを通じてなら対応しています。Ollamaのハードウェアのページには、VulkanによってWindowsとLinuxでGPUが使えるようになり、デフォルトで有効だと書かれており、IntelのLinux向けドライバーの手順へのリンクもあります。ただし、IntelのGPUを製品名では挙げていません。IntelのIPEX-LLMプロジェクトによるOllamaのビルドはアーカイブ済みなので、Ollama自身のリリースを使ってください。
- メモリ:重み(パラメータ数 × パラメータあたりのバイト数)+KVキャッシュ(標準的なTransformerでは2 × レイヤー数 × KVヘッド数 × ヘッド次元 × コンテキスト長 × バイト数。スライディングウィンドウ、ハイブリッド構成、MLAのモデルは実際のキャッシュのとおりに計算)+ランタイム0.5GB+重みの4%。導出の詳細はLLM VRAM計算ツールにあります。
- 速度:70% × メモリ帯域幅 ÷ アクティブな重みのバイト数。シングルストリーム、バッチ処理なし、プロンプト処理は含みません。実測ではなく上限です。≤の付いた数値(11個中2個)は、トークンごとに読む重みがごく少ないため、実際のランタイムが数値を最も大きく下回る箇所です。詳しくは生成速度(トークン/秒)推定ツールをご覧ください。
- GPUの仕様(メーカーの数値):12GB、456GB/s、190W。IntelによるこのGPUの公式ページを参照してください。
- モデルのアーキテクチャの値は、各モデルが公開しているconfigから取っています。それぞれの値が何を変えるかは、LLMのセルフホストのガイド(英語)で説明しています。