Arc Pro B60
Arc Pro B60は、このサイトで扱う34のオープンモデルのうち28モデルを、Q4_K_M・8kコンテキストで動かせます(2026年10月16日に計算)。最大のモデルはQwen3.6 35B-A3B (MoE)で、必要量は22.4GB、生成速度は最大183トークン/秒です。
- メモリ
- 24GB(VRAM)
- メモリ帯域幅
- 456GB/s
- ボード電力
- 200W
- 発売
- 2025年
- 入手方法
- ワークステーション向け
Arc Pro B60で動くモデルの一覧
Arc Pro B60(24GB)がGPUで使えるメモリは24GBで、メモリ帯域幅は456GB/sです。以下のモデルはすべて、多くの人が実際に使う設定であるQ4_K_M・8kコンテキストでの値です。5%の安全マージンを差し引くと、使えるのは22.8GBです。何が読み込めるかはメモリが、どれだけ速く応答するかは帯域幅が決めます。どちらも明示した計算式による推定値で、LLM VRAM計算ツールで計算の過程を確かめられます。
このGPUでは、22.8GB以下なら収まり、20.4GBを超えると「ぎりぎり」です。読み込めても会話に使える余裕はほとんどなく、同じ24GBでデスクトップ環境も動かしていると収まらなくなることがあります。トークン/秒は、メモリ帯域幅から求めたシングルストリームの推定値です。≤の付いた数値は上限で、実際のランタイムはこれを大きく下回ります。
計算・2026年10月16日実際に動かすならこのモデル
Gemma 4 12Bが、このGPUを最も有効に使えるモデルです。使うのは24GBのうち8.2GBで、生成速度は推定46トークン/秒(チャットなら快適)、コンテキストにはまだ131,072トークン分の余裕があります。
ベンチマークは引用していないため、選び方を説明します。モデルはサイズで比べ、MoE(Mixture of Experts)モデルは総パラメータとアクティブパラメータの幾何平均で数えます(経験則で、測定ではありません)。メモリに余裕を持って収まり、25トークン/秒以上で応答する最も大きいクラスを選び、その中で最も新しい汎用モデルを選んでいます。コーディングや推論に特化したモデルは上の一覧には載せていますが、標準ではおすすめしていません。
このGPUが保持できる最大のモデルはQwen3.6 35B-A3B (MoE)で、必要量は22.4GBです。ただし、普段使いには向きません。メモリの93%を埋めるため、会話に使えるのは25,600トークンだけです。文書の途中でコンテキストが尽きるなら、パラメータが多くても割に合いません。MoEモデルで、トークンごとに読むパラメータは3Bだけなので、2つのうち速いのはこちらで、推定183トークン/秒です。その代わり、トークンごとにすべての重みを読む密(dense)モデルの深さはありません。
Q8_0でも約14.2GBで収まります。メモリが許すならQ8を選ぶ価値があります。Q4では精度が少し落ちますが、Q8はほぼ劣化がありません。
実際に収まるコンテキスト長
よく聞かれるのはモデルのサイズですが、実際に効いてくるのはコンテキストです。KVキャッシュは会話の長さに比例して大きくなるため、余裕を持って読み込めたモデルでも、長い文書の途中でメモリが尽きることがあります。24GBで使えるコンテキストは、重みを載せた残りの分だけです。同じモデルが動く2つのGPUでも、使い心地がまったく違うことがあるのはそのためです。以下は、Q4_K_Mの重みで、このGPUが保持できる最大のコンテキストです。
| モデル | 最大コンテキスト長(FP16のKV) | Q8のKVキャッシュ |
|---|---|---|
| Gemma 4 12B | 131,072トークン | 131,072トークン |
| Qwen3 32B | 9,216トークン | 18,432トークン |
| Gemma 4 31B | 30,720トークン | 72,704トークン |
| Muse Glimmer 30B | 131,072トークン | 131,072トークン |
KVキャッシュをQ8に量子化すると、保持できる量はおよそ2倍になり、品質の低下はほとんどの人が気づかない程度です。このGPUでは、Qwen3 32Bが9,216トークンから18,432トークンになります。上限は128kトークン、またはそれより小さければモデル自身のネイティブのコンテキスト長で、後者は「モデルの上限」と表示しています。それを超える空きメモリは何の役にも立ちません。サイズの割にはるかに多くのコンテキストを保持できる行は、ハイブリッド構成、スライディングウィンドウ、MLA(Multi-head Latent Attention)のモデルで、標準的なTransformerのほんの一部しかキャッシュしません。計算の過程は各モデルのページにあります。
このGPUの限界
最初に届かなくなるモデルはLlama 3.3 70Bで、Q4_K_M・8kコンテキストで約45.8GBが必要です。使えるメモリは24GBです。Q3_K_Mに下げると約37.7GBが必要で、それでも収まりません。残りをシステムRAMにオフロードすれば動きますが、10〜50倍遅くなります。モデルが動くのを確かめる方法であって、使う方法ではありません。
購入かレンタルか
Intelのソフトウェア環境で200Wの24GBが必要な場合や、LLM Scalerを使って1台のLinuxマシンに複数枚を載せたい場合には、買う価値があります。速さが大事なら、中古のRTX 3090は350Wで、24GBを約2倍の速さで読み出し、CUDAも動きます。大きなモデルをたまに使うだけなら、複数枚のGPUを組むより時間単位で借りるほうが安く済みます。
ワークステーション向けGPUは店頭価格ではなく見積もりで販売されるため、載せられる数字はひとつに決まりません。実際に検討している価格を、電気料金と実際の月間使用時間とあわせて購入とレンタルの比較ツールに入れてください。このGPUが負荷時に200Wを使うことは、ツールにすでに入っています。所有するほうが安くなる月がわかり、そうならない場合はそれがわかります。決め手になるのは、価格よりも月間の使用時間であることがはるかに多いです。
率直な評価
Intelの24GBのワークステーション向けGPUで、B580と同じ帯域幅に2倍のメモリを載せています。
24GBのGPUならどれでも収まるモデル、つまりRTX 3090や4090と同じモデルが収まり、それを456GB/sで読み出します。これはArc B580と同じで、3090の約半分です。つまりB60で買えるのは速さではなく容量で、大きな密(dense)モデルは収まりますが、生成は遅くなります。ソフトウェアは、SYCLかVulkanを通じたllama.cpp、Vulkanを通じたOllama、そしてLinuxでvLLMを動かすIntelのLLM Scalerのコンテナです。LLM ScalerはB60とB70向けに作られています。
得意なこと
- ボード電力200Wで24GBを載せています。
- IntelのLLM Scalerは、Arc Pro B60とB70向けにvLLMをまとめて提供しており、複数のGPUにまたがるテンソル並列とパイプライン並列に対応しています。
- llama.cppは、LinuxとWindowsで、SYCLかVulkanを通じて動きます。
向かないこと
- 456GB/sはRTX 3090の約半分で、24GBを必要とする密(dense)モデルは生成が遅くなります。
- Intel自身のカードとしてではなく、ボードパートナーが独自の設計で販売しています。
- CUDAには対応しておらず、Intelの以前の方法だったIPEX-LLMはアーカイブ済みです。
よくある誤解:メモリバスとメモリの速度はB580と同じなので、帯域幅も同じ456GB/sのまま、容量だけが2倍です。12GBに収まるモデルなら、B60はゲーム向けのGPUより速くありません。お金を払う対象は、追加の12GBです。
ほかの選択肢との比較
- Arc B580:12GB・456GB/s・最適なモデルはGemma 4 12B、約46トークン/秒。Intelの12GBのGPUで、メモリはRTX 3060 12GBより速いものの、ソフトウェアの歴史はまだ浅いです。
- Arc Pro B70:32GB・608GB/s・最適なモデルはMuse Glimmer 30B、約25トークン/秒。Intelの32GBのワークステーション向けGPUで、RTX 5090と同じ容量を608GB/sで読み出し、Intelのソフトウェアで動かします。
- RTX 3090:24GB・936GB/s・最適なモデルはMuse Glimmer 30B、約38トークン/秒。ローカルモデルのコストパフォーマンスの基準で、何年もその座にあるGPUです。
全39種類のGPUはGPU一覧で並べて比較しています。同じ数値をモデルの側から見た表はモデルの適合表(英語)にあります。表を読む代わりに特定の組み合わせを確かめるなら、ローカルLLM動作チェッカーを使ってください。
よくある質問
- Arc Pro B60で70Bのモデルは動く?
- Q4_K_Mでは、1枚では動きません。Llama 3.3 70Bは8kコンテキストで約45.8GBが必要で、このGPUが使えるのは24GBです。選択肢は、より小さなモデルにするか、コンテキストをごく短くしてより強く量子化するか、2枚に分けるか、必要な時間だけより大きなGPUを借りるかです。
- Arc Pro B60で動かすのに最適なモデルは?
- Gemma 4 12Bです。Q4_K_M・8kコンテキストでは、使える24GBのうち約8.2GBを使い、生成速度は推定46トークン/秒で、体感は「チャットなら快適」です。Q8でも約14.2GBで収まるので、収まるならQ8を選ぶ価値があります。
- Arc Pro B60の生成速度は何トークン/秒?
- モデルのサイズ次第です。トークンを生成するたびに、アクティブな重みをすべてメモリから読み出すからです。456GB/s・効率70%で、このGPUは8BのモデルをQ4で推定69トークン/秒で生成します。保持できる最大のモデルのQwen3.6 35B-A3B (MoE)では約183トークン/秒です。人が文章を読む速さは毎秒5〜8語ほどなので、25を超えれば一瞬に感じます。69は456GB/sから求めた上限で、実測ではありません。数値が大きいほど、実際のランタイムはこれを大きく下回ります。
- ローカルLLMに24GBで足りる?
- このサイトで扱う34モデルのうち28モデルが、Q4_K_M・8kコンテキストで動きます。最大で36Bパラメータまでです。本当の試金石はモデルの一覧ではなくコンテキストです。このGPUでGemma 4 12Bを動かすと、メモリが尽きるまでに約131,072トークンを保持できます。
- ローカルモデルにはArc Pro B60とArc B580のどちら?
- このGPUのほうが多く保持できます(24GB対12GB)。そのため、Arc B580の11モデルに対して、28モデルが動きます。速度では、両者は同じです。チャットの速さを決めるのは帯域幅です。
- Arc Pro B60とArc B580のどちら?
- どちらもBattlemage世代のGPUで、メモリの速度も456GB/sの帯域幅も同じなので、両方に収まるモデルなら速度の上限は同じです。B60は24GB(B580は12GB)で、ボードパートナーを通じて販売されています。B60にお金を払うのは、使うモデルに12GBより多く必要な場合だけにしましょう。
- ローカルLLMにはArc Pro B60とRTX 3090のどちら?
- どちらも24GBなので、収まるモデルは同じです。3090はメモリを936GB/s(B60は456GB/s)で読み出し、約2倍の速さで、CUDAも動きます。B60は現行のGPUで、ボード電力は200W(3090は350W)です。生成速度とツールの対応を最も重視するなら3090、消費電力と新品であることを重視するならB60です。
- メモリ:重み(パラメータ数 × パラメータあたりのバイト数)+KVキャッシュ(標準的なTransformerでは2 × レイヤー数 × KVヘッド数 × ヘッド次元 × コンテキスト長 × バイト数。スライディングウィンドウ、ハイブリッド構成、MLAのモデルは実際のキャッシュのとおりに計算)+ランタイム0.5GB+重みの4%。導出の詳細はLLM VRAM計算ツールにあります。
- 速度:70% × メモリ帯域幅 ÷ アクティブな重みのバイト数。シングルストリーム、バッチ処理なし、プロンプト処理は含みません。実測ではなく上限です。≤の付いた数値(28個中8個)は、トークンごとに読む重みがごく少ないため、実際のランタイムが数値を最も大きく下回る箇所です。詳しくは生成速度(トークン/秒)推定ツールをご覧ください。
- GPUの仕様(メーカーの数値):24GB、456GB/s、200W。IntelによるこのGPUの公式ページを参照してください。
- モデルのアーキテクチャの値は、各モデルが公開しているconfigから取っています。それぞれの値が何を変えるかは、LLMのセルフホストのガイド(英語)で説明しています。